研究の方向性が「まちづくり」方面で固まってきた一方、
きちんと「都市計画」制度の課題みたいな話も勉強しておかなきゃということで購入したもの。
都市計画の制度や考え方を教科書的に述べたものではないので、
タイトルと少しズレを感じるかもしれません。
実際の内容は、日本の都市計画制度がいかに緩く理不尽なものかということ、
政官財の利権(鉄のトライアングル)のために利用されていたかということが解説されています。
そして、都市計画を真に市民のものにするためには、というところで結ばれています。
著者はこの「鉄のトライアングル」をかなり目の仇にしている感があり、本文を読み終える頃には政治不信の症状が出ることうけあいですが、
(研究室のボス曰く)日本のセンスの悪い都市計画制度を思うと、なるほどなと言わざるをえないところもしばしば。
基本的な日本の都市計画ツールは、
「用途分けのための大まかな色塗り」と「必要以上かつフレキシブルな容積規制」で成り立っているので、
住宅街にある日背の高い建物ができることもあり得るし、住んでいる地域の用途が変更されるということもありうる。
決定手続きに関しても議会すら通さないきわめて不透明な「審議会」で行われるので、
市民が都市計画に接する機会は奪われてきたのは事実。
都市計画制度の課題に関してはその程度の基礎知識でしたが、
本書を読むとその経緯や、政治上の綱引きについても知ることができました。
少し強めの論調ですが、長く手元に置いておきたい本かなと思います。
- 感想投稿日 : 2013年10月17日
- 読了日 : 2013年10月17日
- 本棚登録日 : 2013年10月15日
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