アフガニスタン史

  • 河出書房新社 (2002年10月1日発売)
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力による支配の歴史があるのはどこの国も同じだと思うけど、アフガニスタンではそれが現在進行形。

誰かが力をつけて国を統一して国王に即位しても、国王に従わない部族との争いは続く。そして必ずといっていい程、国王の跡目争いが起きてまた国が割れる。19世紀以降は、そうした国内の対立に帝国や先進国あるいは近隣の国が介入することで、混乱が一層大きくて複雑なものになる。ロシアやソ連も、英領インドも、アメリカも、皆力で制圧を試みるが、撤退を余儀なくされている。

『外国勢力を排除する』というのがイスラム的なのかどうかは分からない(多分、そんなことはないんだろう)けど、こうした歴史に鑑みるに、『(国の統治に)外国が入ってくるとロクな事がない』という考えに至るのだろう。それは想像に難くない。
国内の対立や混乱を鎮め人心をまとめるには何か芯になる思想が必要で、それがイスラムである、それもなるべく純粋な形で。そう考えるのも分かる。

2021年8月15日にタリバンが再びカブールに入った。
大統領が逃亡したり、政府軍は戦わずして投降したりしているが、こういうことは、今に始まったことでは無いらしい。過去の国王たちも海外に逃れているし、敵方が強いと見ればそれに降っている。
とにかく統治が長続きしない。それなら、徹底的に戦って敗れてしまうよりも、負けそうなときは無理せず一旦退いて、いずれくるであろう復活の時を待つのが得策なのかもしれない。

何もかも『それがアフガニスタンのやり方だから』と考えそうになる。
その間にも、街は荒れ、人々が苦しむのを、モニターの前でただ眺めることしかできない。

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感想投稿日 : 2021年8月31日
読了日 : 2021年8月29日
本棚登録日 : 2021年8月27日

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