なんでもアーバン・ファンタジーよいうジャンルらしい。初耳。
なるほどなとうなずかされる言葉だ。
というのも、この作品で描かれる都市は無際限に拡大する都市という不合理で不可逆なシステムではない。
むしろ個人の内面だとか家庭だとか極小の場所を、都市に拡大して考える類の都市だからだ。
半透明で透過性のあるコクーンが、クロとシロのふたりの周りに敷き詰められている。
半透明だから互いに自由のように見える。
そして実際、透過性があるから他者からの侵入を許すこともあり、結果的にふたりが反目することもある。
が、変わってしまったも変わっていない繭が、依然としてうすーく残っているのだ。
だからふたりが再開すれば、ふたたび繭は閉じることができる、そういうふうにできている。
彼らを包む都市も、そういう具合でできている。
あるいは繭のような都市の核が彼らといえるのかもしれないし、都市の繭性を彼らが象徴しているといえるのかもしれない。
くだくだしく書いてしまったが、ふたりのキャラクターも好きだし、ふたりと取り巻く大人たちの群像も好きだ。
『AKIRA』のまだ幸せだったころの金田と鉄男を連想したりもした。
健康優良不良少年なところや、幻想への没入の仕方とか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
漫画
- 感想投稿日 : 2019年2月11日
- 読了日 : 2019年2月11日
- 本棚登録日 : 2019年1月23日
みんなの感想をみる