対岸 (フィクションのエル・ドラード)

  • 水声社 (2014年2月1日発売)
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本棚登録 : 78
感想 : 10
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小ぶりだがバラエティに富んだ短編集。
ただしコルタサルは短篇に愛着があるらしいが、中編のほうが生きるのかもとちょっと思ったりもした。

■剽窃と翻訳
吸血鬼の息子★ ※ゴシック。
大きくなる手 ※ループ。
電話して、デリア★ ※今際の際との交信。
レミの深い午睡 ※ループ。
パズル★ ※記憶の混濁と猟奇。
■ガブリエル・メドラーノの物語
夜の帰還 ※幽体離脱。
魔女★ ※想像で人の実体を作り上げる。(ボルヘス)
転居 ※異なる世界線に来てしまった。
遠い鏡 ※ワープだか異なる世界線だか。
■天文学序説
天体間対称
星の清掃部隊 ※SF寓話。
海洋学短講
手の休憩所 ※奇想。
■短編小説の諸相
短編小説とは、生と、書き表された生が兄弟喧嘩を繰り広げる場所から生まれる。
暗示力、凝縮性、緊張感。
物語によっていったん読者を現実から切り離した後、再び世界と読者のより豊かな絆を作る。
革命を書くより、革命的に書くには、幻想文学の方が革命的かもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学 海外 /南米
感想投稿日 : 2017年5月11日
読了日 : 2017年5月11日
本棚登録日 : 2014年5月7日

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