宇宙船地球号 操縦マニュアル (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房 (2000年10月10日発売)
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バックミンスターフラーといえばこの宇宙船地球号。ジオデシック・ドームで知られる建築家ですが、地球上の資源の有限性や資源の適切な使用について語るため、地球を閉じた宇宙船に例えて1963年に「宇宙船地球号」という概念・世界観を発表したその内容が記載されています。アップルストアなどを手掛ける著名な建築家であるイギリス人建築家ノーマン・フォスターも彼の思想に影響を受けており、その他数々の建築家、デザイナーが影響を受けている思想でもあります。

また、ダイマクション(Dymaxion)という言葉が、彼の作品には多用されているが、 ダイマクションは、発明品のいくつかにつけたブランド名であり、技術の発達は「より少ないものでより多くを成す」方向に向かって進むものだというフラーの概念を元に、広告業者が考案した名前でもある。

本書は、地球上の資源の有限性や資源の適切な使用について語っている文が、現代のサスティナビリティ思考にも通じる考え方で、有限性の感覚を得るのには理解しやすい内容となっている。この思考の極限の状態を、一つの宇宙船で資源となるものが「人」も同様であるといった描き方を、弐瓶勉作の「シドニアの騎士」にも見て取ることができるので合わせておすすめしたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年11月21日
読了日 : 2022年11月21日
本棚登録日 : 2022年10月26日

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