リチャード・バートンは以前から気になっていた.千夜一夜物語やカーマ・スートラを翻訳し,ナイル川の源流を求めて探検し,アラブ人に化けてメッカに巡礼したという,何だか分からないがすごい人物である.
そのバートンを主人公にして,一応史実は踏まえて書かれたフィクション,といったところか.とはいえ,バートンの視点から書かれた旅行記ではなく,また,スリリングな体験を追った冒険ものでも無い.従者,現地のカリフたち,探検のガイドといった第三者の口から語られるパートが大部分で,色々な視点から明かりをあてて,間接的にその姿を浮かび上がらせる,ところがバートンが上記のように一筋縄ではいかない複雑で捕らえどころのない人物であるために,なかなか不思議な味わいだ.好き嫌いは分かれると思う.
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- 感想投稿日 : 2016年6月5日
- 読了日 : 2016年6月4日
- 本棚登録日 : 2016年6月5日
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