希望退職を募る: 小説企業再建 (講談社文庫 え 9-13)

著者 :
  • 講談社 (2003年2月15日発売)
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感想 : 1

江波戸哲夫『希望退職者を募る』(講談社文庫)

1割を超える人員削減と賃金カット。
父の急死で後藤工業所を引き継いだ2代目社長後藤彬が全従業員に告げた「再建計画」は猛反発にあう。
弟徹が率先してリストラ第1号になったが、副社長一派と呼応する多くの従業員は出社拒否。
だが製造業を襲う大不況に猶予はない。再建の道は!?

といった本書の内容が文庫本の裏表紙に書かれている。
若くして社長になり、年上の部下を多く抱えることになった彬の苦悩と頑張りが描かれている。
特に副社長一派との攻防には考えさせられるところが多い。
副社長は何とか社長に上り詰めようと、色々な手を打つ。
会社にとって有益でないことにまで手を出し、社内を混乱させる。
そうすれば彬が社長の椅子を投げ出すと踏んでの行為だった。
だが、彬はそれにもめげず、丁寧に社員を説得して回る。
そして、営業成績をデータで把握できる「ゴトーネット」の導入に踏み切った。
中小企業にしてみれば、この設備投資は博打のようなもの。
だが、彬はこれで社内政治に翻弄される営業マンが消えると予想していた。
そして、副社長一派の営業マンも、実績が数字で示されることに共感を覚えだす。
社内は活性化し、結局同社は解雇を出さずに済むこととなった。
人間関係の難しさ、数字で語ることの重要性が説かれていたように思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2010年5月25日
読了日 : 2010年5月25日
本棚登録日 : 2010年5月25日

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