新・進化論が変わる―ゲノム時代にダーウィン進化論は生き残るか (ブルーバックス)

  • 講談社 (2008年4月22日発売)
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進化論に関するこれまでの議論とそれぞれの現時点の見解をまとめており、頭の整理をするのに役立つ。著者が提唱するウィルス進化説を紹介している最終章は、進化が断続的であることなどの謎を解明できそうで興味深い。

・ヒトのDNAではジャンクが70%を占めており、ジャンクの半分がウイルスの名残であるレトロトランスポゾン。
・脊椎動物に広く存在するが、昆虫や植物には全く存在せず、バクテリアの遺伝子に似ている225の遺伝子が見つかっている。脊椎動物が昆虫や植物から枝分かれした後に、いくつもの遺伝子がバクテリアから脊椎動物に水平移動したと考えられる。
・B型肝炎ウイルスの遺伝子型は、西日本から中部地方、中国北部や韓国にはCタイプが多く、沖縄・奄美・東北・北海道、台湾・インドネシアにはBタイプが多い。
・白血病の一種であるATLウイルスのキャリアは、アイヌ、九州、沖縄に集中していて、本州には少ない。
・縄文人のミトコンドリアDNAが南方系の型と同じだったことから、縄文人が古モンゴロイドはあることになる。
・琉球犬と北海道犬は縄文人に連れてこられた犬の子孫で、他の日本犬は大陸から来た弥生人が連れてきた犬と考えられる。
・性格の半分は遺伝によることがわかってきており、新奇性追求、損害回避、報酬依存、持続性については遺伝的要因が大きい。新奇性追求、損害回避、報酬依存については、ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリンが特徴的な役割を果たしている。

進化論
・哺乳類と爬虫類では骨格が大きく異なるが、その中間的な骨格の化石が発見されていない。
・プラスミドは染色体に乗っていない遺伝子の総称で、細胞質にあり、自律的に複製を行う。
・抗生物質に対する多剤耐性菌のほとんどはプラスミドによって支配されている。
・生死を賭けた闘いという意味での生存競争は、進化とはほとんど関係がないと考えられるようになってきた。
・小さな突然変異が積み重ねられた結果として大きな変化が起きたという具体的な例は見つかっていない。
・20種類を越える霊長類に子殺しが確認されている。ツバメでもオスによる子殺しが観察されており、一夫一婦制の種が子殺しをする唯一の例。
・中間の長さの首を持つキリンの化石は見つかっていない。
・ウイルス進化論では、多くの個体にウイルスが感染することによって種全体に変化が起きると考えられる。
・ファージは細菌に感染するウイルスで、細菌の遺伝子に組み込まれたファージをプロファージという。

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感想投稿日 : 2014年7月6日
読了日 : 2014年8月1日
本棚登録日 : 2014年7月6日

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