スマホが学力を破壊する (集英社新書)

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  • 集英社 (2018年3月16日発売)
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スマホを何のために使うか?
その目的と理由を「しっかり」考えて、スマホを使うのが、
より良い人生を実現する上で大切なことだと思いました。
少し、大げさな表現ですが。。。。

なぜなら、私は今、スマホを大した目的もなく、
使っていて、視点を変えれば、「使わせられている」からです。

この著作では、スマホの使用時間と学力高低には、明確な相関関係が認められていると指摘しています。
つまり、スマホを使用すれば、すればするほど(使用する時間が長ければ、長いほど)、
学力を測る指標の一つである数学や国語の成績が下がるということです。
もちろん、この結果知っても、「そんなの当たり前だろ」です。

興味深いのが、スマホの使用時間がある一定数を超えると、
仮に2時間、家で勉強しても、
その効果が点数に反映されず、「勉強した時間の効果が消えている」、
可能性をこの著作(仙台市で行われた教育調査)で指摘しています。

これは、スマホの使用時間の増加が青少年少女の脳に多大なる負荷を掛けていて、
記憶をつかさどる海馬が何がしかの形で「反応」していることかもしれません。
もちろん、ここでいう「反応」は悪い方の「反応」で、
スマホを使ったことで、学んだことが身についていない現象が生まれているということです。

例えば、現代は、当たり前のように中高生が大量のメッセージをライン上でしていますが(アメリカの統計では1日に平均110回SNSを通してテキストメッセージを送っている)、
その行為が脳にどれぐらい負担をかけていて、その影響が学習にどう及ぼしているのは、
はっきりとわかっていません。良い影響なら良いのですが、たぶんそうではないでしょう。

分かっていることは、SNSを操作している時は、脳は大して働いていないということです。
その一方で、脳の一部の機能に多大なる負荷を掛けている可能性がある。
言い換えると、全然、仕事をしないで、朝から晩まで、ぼっっと会社にいて、
「あああ、疲れた」と言って、帰宅する、どうしょうもないサラリーマンに似ている状況かもしれません。
こういう人材は、真っ先にクビを整理対象になります。

話しを戻し、個人的に思うのは、SNSのテキストベースのやりとり、写真や動画の絶え間ないやりとりは、
脳に多大なる負担をかけるというか、ダメージを与えているんじゃないかと思います。
川島博士も、それらの行為が、脳の健全な発育を阻害している可能性があるかもしれないと、
危惧しています。仮に因果関係があることがわかっても、社会的に封鎖されるか、
そういう研究の不備を、あらゆるスマホ関連企業が指摘し、つぶされるでしょう。
タバコと全く同じです(タバコは、有害が社会的に認知されるまで80年以上を要しました)。

現に、SNSではないですが、それよりも遥かに「はまる」と言われるオンラインゲームは、
その中毒者とそうでない健常者の脳を比較してみた場合、中毒者の脳が変形していることが、
明らかにされています(これも、ほとんど話題になっていませんが)。
特に判断をつかさどる前頭前野が正常に育っていないとされています。

スマホは本当に便利な道具です。
あらゆる娯楽を私たちに、提供してくれています(多くは実質無料です)。
それは、とても面白い経験であり、役立つものです。
より良い便利な生活をする上で、スマホは、なくてはならないのになっています。
しかし、ある見方では、あまりに、「はある」ものであり、スマホに依存し、
私たちの貴重な時間を奪うだけではなく、カラダやメンタルまで、多大なる影響を与える恐れがあるものです。

この本を読んで、スマホの使用時間を毎日1時間未満(仕事や勉強で使う以外)にし、
学習時間(勉強・資格取得など)を2時間以上とることが、青少年・少女の学力を維持、発展するための必要条件で、また、成人にも非常にあてはまる人生の最適化戦略になると思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月2日
読了日 : 2019年12月2日
本棚登録日 : 2019年12月2日

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