「続ける」習慣

著者 :
  • 日本実業出版社 (2010年11月11日発売)
3.72
  • (88)
  • (188)
  • (142)
  • (29)
  • (5)
本棚登録 : 1817
感想 : 201
4

氏のノウハウを参考にして、果たして、どれぐらいの人が、長期にわたって、
自分が選択した習慣を「続けている」のでしょうか?
確かに氏のノウハウは、数か月の単位であったら、効果的かもしれません。

しかし、その習慣を3年、5年、10年と続けていくには、おそらく氏のノウハウは、
あまり使えないと思えます。
小手先のテクニック(行動経済学とか、脳科学と認知心理学の専門家が、
一般向けに書いた本の知識とアメリカ人の「習慣」と「行動」、「効果」など、
なんでも、科学的に説明し、エビデンスがないと気がすまない人達が、実験に次ぐ実験、
事例に次ぐ事例を羅列した本などを参照)だけで、「習慣」を「継続」させるのは、かなり難しいと思います。

氏は、習慣を継続する上での、「アメ」と「ムチ」(※継続スイッチと言っている)の重要性を語っています。
アメは、ご褒美などの、テストで100点とったら、オモチャを親が買ってあげるのと、同じ論理、ムチは、
損得や宣言などで、強迫的に自分を追い込む論理です。
このノウハウも、すごく短期的な視野から語られるもので、長期的には、あまり効果ないと思います。

まず、習慣を選択する場合で、そもそも「良い習慣」、「悪い習慣」というものがあるのでしょうか?
あくまで、相対的基準で、絶対的な基準ではないでしょうか。氏の著作を読むと、
あたかも、早起きや勉強系(英語や読書)、日記やブログ、運動・ダイエット、禁煙、整理が当たり前のように、
選択すべき「良い習慣」とされていますが、果たしてそうなのでしょうか?多くの人が、何気なく、
「良い習慣」だと思っていることも、よくよくその人に照らし合わせてみて、振り返ってみたら、
全く良い習慣じゃなかったと思うことは、多々あるんじゃないでしょうか。
※もちろん、麻薬やポルノ依存、過度のギャンブルは、「良い」習慣とは言えませんが。。。

100mが苦手だと思う人に、100mを走れば、こういう効果があるから、「習慣」にするように!と言うぐらい滑稽です。
似たような言説は、今の日本には非常に多いと思います。
正直、不安ビジネス(人を不安にさせ、金銭で解決するように、促す行為)と言っていいと思います。

仮に英語の勉強が良い習慣だと思っていたら、実は、自分は、まったく欧米の文化に興味もないし、
英語をマストで使う環境にも置かれていないとわかる。しかし、世間的には、良い習慣とされているから、
継続したいと思う。そして、いろんなことを試す。結果、時間だけが、過ぎていく。
早起きに関しても、疑問です。良い習慣なのでしょか?
早起きをすると、仕事の生産性が上がるとか言っていますが、
仕事の生産性って、果たしてなんでしょうか?売上げUPに貢献したことなのでしょうか。
自分の生産性が上がったから、売り上げがUPしたと思うほど、仕事は単純じゃないと思います。

まず、習慣を選択する上で、大事なのは、自分が良いと思う習慣が、
果たして、自分にとって、本当に良いのか、考えることだと思います。

習慣を継続する上で、もちろん科学的なアプローチはあるでしょうが、
参考までに、自分が長く継続している習慣を振り返ってみると、
自分の中にあるコンプレックスを克服することで、習慣化になった要素が結構強いです。
つまり、自分に対して、どういう問題意識をもっているのが、重要な要素になると思っています。

氏は、専門家の知識を、自分なりに、まとめて、わかりやすく、
読者に伝えることは、非常に長けていると思います。この点は、非常に評価できる著作だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年6月6日
読了日 : 2017年6月6日
本棚登録日 : 2017年6月6日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする