犬のかたちをしているもの (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2022年8月19日発売)
3.90
  • (6)
  • (7)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 110
感想 : 11
4

自分が原因でセックスレスになり、子供ができる可能性も薄い。
そんな状況で、彼氏が他で作ってしまった子供。
子供は生むので生まれたら、貰って彼氏と育ててほしい。
そんな申し出をされたらどうしますか?
主人公に共感を覚えるのに、鑑賞移入できない不思議。
ミナシロさんは、最初から郁也を狙っていたのでは?
郁也はとことん自己中心的。
初めてミナシロさんに会った後で泣いている主人公を慰める場面での
「お金って、いくら払ってたの?一回あたり」
「……一万円」
このくだりで爆笑。
主人公が生理的出血をする場面が何度も書かれています。
これは男性の苦痛が観念的なのに対して、女性は身体的現実の苦痛が伴うのだ!
分かってんのかオラ‼という著者の怒りを感じました。
個人的には子ども云々よりも「居場所が変わる度に、友達も一新されてきた。」
「共通する所属がなくなった後で、それでもわたしと会いたいと思う人なんていない」このフレーーズが切実でした。
「犬のかたちをしているもの」
相手の望むものを備えていなくても存在そのものが、認められ愛される。
主人公がなりたいものなのではないでしょうか。
大丈夫あなたは犬のかたちをしているよ。
だから郁也なんか放ってしまえ(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月26日
読了日 : 2023年3月25日
本棚登録日 : 2023年3月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする