暗黙知の次元 (ちくま学芸文庫 ホ 10-1)

  • 筑摩書房 (2003年12月10日発売)
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感想 : 86
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暗黙知というと野中郁次郎だが、同じ暗黙知を使っているとはいえポランニーと野中とではかなり認識がちがうのかなーと思う。

野中の暗黙知の区分は、現時点で言語化されているかいないかというところにあるんじゃないかと思う。今は暗黙知であっても、何らかの操作によって将来的には(ある程度)言語化できるわけで、潜在的な形式知予備軍と言えるもの。だから、SECIモデルのようなサイクルが出来上がる。

それに大して、ポランニーの暗黙知は、そもそも言語化が非常に困難なもののように思える。言語化されうる知識とは別の次元で、言語化されるどころか意識化すらもされない知識が知識が背後に控えていて、それが言語化された知識をささえている。そして、その背後にある暗黙知は常に更新されつづけていくし、暗黙知自体がさらなる知識を志向するというような考えでいいのだろうか。

最近、経済・経営系の本ばかり読んで頭が慣れてしまっていたので、読むのにかなり苦労した。、この理屈がどの程度妥当な理論なのかまではよくわからないけど、知識がどのように志向されるのか、そしてどう獲得されるのか、という視点からは示唆が多くて面白かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2010年7月9日
読了日 : 2010年7月9日
本棚登録日 : 2010年7月9日

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