前回読んだ「複雑ネットワークとは何か」よりもだいぶ読みにくいし、後半の現実への応用の部分は単調で面白くない。
だけど、前半の理論部分はかなり面白く、しっかり読んでいけば「複雑ネットワークとは何か」よりもずっと理解しやすい。「複雑ネットワークとは何か」が理論の紹介にとどまっていたのに対して、こちらは問題意識がはっきりしていて、こういうアプローチをとることの意味まで踏み込んでいる。ただおもしろい理論、面白いアプローチというだけでないし、ただ現実世界に応用がきく、というだけでもない。どういう切り口や視点で世界の成り立ちを理解するかというところまで考えさせてくれる。
【メモ】
・全体は部分の単純な総和ではないということだ。むしろ、それらの部分自体は極めて単純な要素でも、お互いに作用しあっていて、その相互作用によってはこちらが当惑するような振る舞いをすることがある。
・あなたが情報を得て自分の地平を拡大するのは、あなたの周りに現存する社会的接触を通してなのだ。つまり、あなたが行動することによって社会構造が変化し、未来の時点の知人を得ることになる。
・人は他者から自分を常に区別する、非常に強い距離の概念を持っている
・多くの場合、お互いによく知らず共通点のない人々の間にたまたま生じる弱い紐帯によって、共同は引き起こされる
・規則性とランダム性。構造と主体。戦略と気まぐれ。これらは現実のネットワーク化したシステムの主要な対立点である。
・われわれが世界を整理し理解するのは、みずからを取り巻いている構造をとおしてなのだ。
- 感想投稿日 : 2010年9月10日
- 読了日 : 2009年9月10日
- 本棚登録日 : 2010年9月10日
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