日本の心を歌う、と称されるところの演歌。戦前戦後の日本の歌謡史を紐解き、「演歌」というジャンルの成立・発展過程を追いかける。
そして、演歌というものがが新しいジャンルであり、日本の心という位置付けもあとから付与されたものであることが明らかになる。演歌とは日本の歌謡制度の変遷の中で東西楽曲多様な混淆から生まれたある種キメラ的なジャンルであり、演歌=日本の心、という定式も新左翼的な反動によって70年代に至ってようやく後付けされたものであるという。
「演歌」の複雑な成立過程を膨大な情報から丁寧に分析し探っていく様は極めて刺激的だし、さらにそうして見出された演歌の姿が「日本的」「伝統的」という現代のイメージとは似ても似つかないものだという事実も驚きに満ちている。350ページという新書としては大部の分量も納得で一気に読んでしまう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年1月28日
- 読了日 : 2015年10月28日
- 本棚登録日 : 2017年1月28日
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