世界最悪の旅: スコット南極探検隊 (中公文庫 B 9-4 BIBLIO)

  • 中央公論新社 (2002年12月1日発売)
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本棚登録 : 265
感想 : 25
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 軍人スコット率いるイギリス隊が、折角苦労して南極点に辿り着いたのに、既にノルウェー隊に先を越されており、しかも帰路でんでしまうという悲しすぎる話を、生存者がまとめた本。角幡唯介『極夜行』内で好意的に紹介されており、南極探検についてはWikipediaの記事で読み興味があったことから、実際に読んでみることにした。
 
 南極点への冒険はWikipediaや各ホームページにて詳らかに書かれており、本書の訳が古く読み辛いことから考えても、冒険の足跡を辿る目的ならばこの本を読む必要は薄いように思われる。
 しかし、実際に探検に携わった人物の手記や各記録、また世界の大英帝国国民が北欧の小国ノルウェーに抱いた複雑な感情、そして批判への時に冷静で時に感情的な反論等は、生だからこそ胸に迫ってくるものがある。
 「近代の文化国家は、探検をふくめて科学的研究の基金のために関心を払うべきである(p.254)」などは、ノーベル〇〇賞受賞者がよく発言している内容に酷似しており、いつの時代も一緒なのかなぁと思った。いつの時代でも一緒なら、今後も今のままで……とはならないか。

 なお、本書の翻訳年については1984年に河出で出たものを新たに文庫化したと書いてあるだけで、明記はされていない。同著者の同タイトルの本が昭和19年発売とあるが、戦前、というか戦時中だろうか??翻訳の古臭さや読みにくさはなかなかのものだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: イギリスの作家
感想投稿日 : 2019年1月17日
読了日 : 2018年12月31日
本棚登録日 : 2018年12月15日

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