白居易と柳宗元――混迷の世に生の讃歌を (岩波現代全書)

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  • 岩波書店 (2015年4月18日発売)
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盛唐から中唐時代の詩人に科挙出身の官僚がいかに多かったことか。題名の2人とも左遷などで苦難の道を通った人らしいが、対称的に人生を楽しんだ白居易と清冽な歩みをした柳宗元。白居易の無二の親友とされる元稹や劉禹錫もまた官僚だった。白居易が若い日に湘霊という少女と恋をした記録は愉しい。そして柳宗元は屈原、陶淵明、杜甫などの系譜の孤高の人として存在していたのだ。長安と洛陽の2都市に対する知識人の認識の違いが興味深いところ。政治都市である長安の緊張感とは別に、水と緑の庭園都市、古都洛陽では落魄の身ながら、文化・趣味の世界に生きたのだ。著者の文章は素晴らしかったが、漢詩の紹介が現代日本語訳だけなのが残念!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 東洋史
感想投稿日 : 2015年8月13日
読了日 : 2015年8月11日
本棚登録日 : 2015年8月7日

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