時代は平安初期から鎌倉幕府の滅亡まで、中世の記述が随分詳しいが、鎌倉時代には仏教が興隆するなど社会の動きが激しかったのだろう。東西王権という言葉が度々使われているように、今我々が思っているほど天皇家の権威が絶対でなく、揺るがされていたことへの危機感が強かったと感じた。それは持明院統・花園天皇(後醍醐の直前の天皇)が「皇統が一統だから異姓に簒奪されることはないことは誤り、天皇家の土崩瓦解」を警告していたという驚きの言葉に現わされている。鎌倉幕府がなぜ東の王権を保っていたかの理由に、皇族の将軍が歴面と続いていた!そしてそれが思いのほか大きなインパクトであった。これは驚き、学校の日本史では全く教えられなかった史実である。
頼朝が守護・地頭を置いて支配を強めたという常識は、実は平家もそれに相当する官職を置いていたということも驚きであった。
元寇の文永・弘安の役が東の王権と地位を高めたことに繋がったことも常識とは全く異なる説明だった。とにかく驚き続きの1冊だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2022年2月28日
- 読了日 : 2022年2月28日
- 本棚登録日 : 2022年2月12日
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