五摂家筆頭・近衛文麿の長男・文隆が昭和20年8月に満州でソ連に拉致、その後11年間、戦争犯罪人として抑留され、悲劇の死を遂げるまで。そして一人コノエに留まらず、数十万人の日本兵がシベリアで命を落とす。生々しいソ連ジャーナリストの告発本。著者は自らの父・兄弟の行方を探るうちに近衛の記録と出会い、詳細な調査を行ない、この本になった。スターリン、ベリヤ、フルシチョフなどの会話がリアルで現実味、迫力に富む。社会主義の名前の下に国家犯罪を行なったソ連&スターリンの罪深さへの強烈な指弾は自らの肉親の死への怨みもあり、容赦がありません。獄中でスターリンの死後反逆罪で囚われたその子息と近衛が偶然会う場面があり、事実であれば正に運命です。それにしても爽やかな近衛の人柄でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
現代史
- 感想投稿日 : 2013年8月25日
- 読了日 : 2001年4月13日
- 本棚登録日 : 2013年8月25日
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