江戸時代初期の経済史とも言うべき内容です。今から300~400年ほど前の時代ですが、旧家に残る古文書を読み、江戸初期の駿河国の肝煎(庄屋)与惣左衛門とその下人七右衛門という実在の人物の家族環境などを調べ、彼らを主人公であるかのような書き方は見事です。この時代を書いた名著と言われる所以が納得できます。むしろ百姓を主人公に据えて、佐倉藩の木内宗吾郎伝説、松本藩の多田嘉助騒動の解明、伊達騒動ほかのお家騒動の経済的要因などを詳しく述べています。私たちの先祖であった農民たちの生活ぶりがビビッドに描かれて素晴らしい作品でした。鎖国が実は幕藩体制が対外貿易を完全に支配下におき、商業経済の動向に左右されないための政策だったという観点は私には全くなかったことも、実に新鮮に感じられました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本史
- 感想投稿日 : 2013年8月24日
- 読了日 : 2005年12月22日
- 本棚登録日 : 2013年8月24日
みんなの感想をみる