明治改暦: 「時」の文明開化

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  • 大修館書店 (1994年6月10日発売)
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 明治5年12月3日を以って明治6年1月1日(西暦1873年)とする改暦。実は明治政府が12月分の給与そして、明治6年にあるはずだった閏月の人件費を節減することが一つの動機だったとは知られていることであるが、詳細な説明から、それも一つではあるものの、欧米諸国から遅れた国との認識の解消にあった!当時の人々の戸惑い、太陰暦と太陽暦の優劣を巡る論争が毛唐に敗北するとの日本国粋主義と結びついての抵抗感など、興味深い。そして「明治」元号の一世一元の実施、神武皇紀の導入、従来の節句などの市民生活に結びついたものから天皇制に合わせた祝日への改革、1日,6日休日制から7曜制導入による日曜祝日化、1日24時間の正式導入など、ほぼ同時期に行われていたことも、現代化、国際化、天皇制強化による中央集権化を行う上で極めて大きい文明開化の施策だったと痛感する。7曜制が平安時代以来「具注暦」に記載され、七値とも呼ばれて日本人にとってはまんざら馴染みのない存在ではなかったとは、目から鱗。楽しい話は安土桃山時代に日本に西からアジア経由で来たポルトガル人と東の新大陸経由で来たスペイン人の曜日がずれていたため、スペイン人は一日遅れで日曜礼拝をしていた!曜日のない日本人を含め、「3つの時間」が存在していたということに感慨さえ覚えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2022年11月21日
読了日 : 2022年11月21日
本棚登録日 : 2022年11月6日

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