多神教から一神教へと進化したのか、その逆に一神教から多神教へ退化したのか、著者は明らかに進化の立場を取っている。一神教は長い人類の宗教を遡ってもユダヤ・キリスト・イスラム教に至るイスラエル人以外には古代エジプト第18王朝においてアクエンアテン(アメンへテプ4世)がアメン神に統一を試みた実験に見えるだけだという。一体どんな信仰だったのだろうか…?BC14世紀というと、モーセの時代と重なることを考えると、すごく興味深いところである。旧約聖書の解説、そして古代オリエント地方の「イスラエル」に関する遺物の分析にも詳しいが、最も面白いのは旧約聖書に登場する人物「名」の分析に見る神の名前の登場!明らかに神(エル、ヤハウェ、そしてバアルなどの異教の神)を含んだ名前がある時期に顕著な特徴があり、それが唯一神への信仰の確立との関係を分析するところ。ヨシア王(BC 6世紀)の宗教改革が「申命記」の発見だという解釈から、申命記の影響を受けた歴史書に見える唯一神の強調、第2イザヤ以降の唯一神による救済という考えが深まっていく中で、現在の一神教に至る、何度も宗教改革が重なる中で今の一神教の信仰が成立していったという強い主張である。(終章で5段階の革命と整理している。)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
キリスト教
- 感想投稿日 : 2024年3月5日
- 読了日 : 2024年3月5日
- 本棚登録日 : 2024年2月21日
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