明日があるなら 下巻

  • アカデミー出版 (1990年3月1日発売)
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本棚登録 : 321
感想 : 26

ニュースから蘇るおしゃれ怪盗淑女


 盗難にあっていたゴヤの絵画「チルドレン・ウィズ・ア・カート(子供たちと馬車)」が無事回収されたとのニュースを聞きました★
「スペイン絵画 エル・グレコからピカソまで」展のため、2006年11月9日、オハイオ州のトレド美術館からマンハッタンのグッゲンハイム美術館へと輸送する段階で、何者かに盗まれた一件。絵が出てきたのは18日。FBIは詳細を明らかにしていません。
 こういう話を聞くと、「戻ってきた絵は本物?」と疑ってしまうのは、小説の読みすぎでしょうか……!?

 すりかえられた(かもしれない)ゴヤの絵、というところから連想したのが『明日があるなら』。
 幸せの絶頂にいたはずの女性が、一転して無実の濡れ衣を着せられ、復讐を胸にたくましく生まれ変わります。ところが、パワーアップしすぎて本物の泥棒になってしまうという筋立て!
 上巻では、誰もが見とれる美貌の主人公を、監獄でよってたかっていたぶるキワモノシーンが頻発しますのでご注意。下巻で大泥棒に転身してしまってからのほうが、まだ安心して読めるかも。

 血なまぐさい犯罪には手をそめず、宝石や絵画、美術品を盗み、豪華なホテルを転々とするトレイシーのライフスタイルはおしゃれそのもの☆
 難攻不落のプラド美術館からゴヤの絵を狙うまでに成長したトレイシーが、最初に刑務所へ送られた際着せられたのは、ルノアールの絵を盗んだかどだった。というラインを見直してみたら、アート系サスペンスだったんですね~★
 ただ、そういうイメージはなくなっていますよね? 文体に問題ありで、それだけ何とかならないかなというのが率直な感想でした。今にして思えば、ひどく安っぽい表現は、悪名高い超訳の仕業だったかな……?

 スリリングでエレガントな怪盗淑女クラブをイメージすると愉しい♪ 誰かを出し抜くことの喜びが、ピュアと言っていいほど爆発的に描かれていて痛快です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: はっぴゃくじ@Review Japan掲載書評
感想投稿日 : 2011年9月24日
読了日 : -
本棚登録日 : 2006年11月29日

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