フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス文庫)

制作 : 三浦しをん 
  • 新書館 (2013年2月9日発売)
3.92
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本棚登録 : 309
感想 : 37
4

台湾のBL小説は何度か読んだものの、アメリカのゲイ向け小説は初めて。

絶対犯人はコイツだ!真相はこうに違いない!と読み進めたものの、まんまと外れました。
思わせぶりな伏線が何通りも登場し、そのうちの一つが真相として回収された、という感じ。
(あまりアメリカの小説は読まないんだけど、伏線を全部回収するんじゃなく、
一部が本物の伏線で他はフェイク、みたいなのはよくあることなのだろうか?)
真相がわかったときのカタルシスこそなかったものの、大きな矛盾点や不満もなく、よく練られた、出来た小説だと思った。
翻訳小説の中では読みやすく、けれど原語のウィットに富んだ言い回しも残されている。
フェア・プレイも読破したら原書も読んでみたい気持ちにさせられた。
エリオットが犯人に追い詰められるシーンでは手に汗握る緊張感と不気味さがあって良かった。

また、当たり前のように自分のセクシャリティを公表し、当たり前のようにそれを受け入れる家族や同僚、はたまた激しい差別意識を向けてくる知人や、
人種差別や政治思想についての話も当然のように物語に組み込まれているところは日本のBL小説にはないものだと思った。
(尤も、これはゲイ小説であってBLではないが)

メインとなるエリオットとタッカーだが、エリオットがネガティブに考えすぎているだけでタッカーはエリオットにベタ惚れで、
お前がいいなら俺は何でも、とキスするシーンや最後の台詞はかなり興奮した。
エリオットがタッカーに依存していることは言わずもがな、エリオットが少し素直にさえなれれば、この二人はなんだかんだで上手くやれると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2018年12月24日
読了日 : 2018年12月24日
本棚登録日 : 2018年12月24日

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