天使玲夏(あまつかれいか)は普通じゃない。感情表現が希薄な一方で、物をバラバラにすることには異様な情熱を持っている。彼女の幼なじみ・結城友紀(ゆうき)は、一緒に入部したパズル同好会でバラバラ連続殺人事件の謎を追うが──。
なんでも分解したがる玲夏と、それを組み立て直す結城。そんな凸凹高校生コンビが挑むのは、犯行現場に謎のURLを残していく殺人鬼“アドレス”。玲夏たちは同好会のメンバーとともにURLの謎を解読しようと試みるが、そんな中で生徒からも被害者が現れる!事件が一気に混沌となる中盤からが見どころ。
おじさんにはまぶしいほどにライトノベル!軽やかな文体に、結城の物事をこねくり回したモノローグは王道とも言える。序盤はコミカルながら、玲夏の危うい癖がシリアスへと揺さぶりをかけ、結城の存在で均衡を保ちながら事件を分解していくのが面白い。事件の底に流れる狂気と青春がほろ苦い。分解と破壊は違うって着眼点がユニークで好き。元に戻せるかどうか。それを見極めるラインは、実生活でも重要な要素ではないだろうか。
あと、結城のモノローグでこれが一番お気に入り。こういうノリが嫌いでなければぜひ。
触らぬ神に祟りなし。
そんな事はわかっている。嵐野なんて祟り神もいい所。もし、タの数でその脅威度が表せるのなら、タタタタタタタタタタタリ神だ。
このタの数は特級呪霊かケンシロウすぎる。どちらも脅威度が高いのは同じか(笑)
ベースはライトミステリだけど、それだけじゃない苦味を求めたい人にお薦めしたい一作。
p.53
必ず嘘をつかねばならない人間は、嘘に嘘を重ねて真実を話してしまう。
- 感想投稿日 : 2023年6月9日
- 読了日 : 2023年6月9日
- 本棚登録日 : 2023年6月9日
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