精神科医・弱井と患者のドラマはやわらかいタッチで描かれていながら、深く潜るように心へ響いてくる。昨年からぼくもうつと不安障害で心療内科へ通院しているんだけど、患者の苦しさや回復の流れなどが丁寧に描かれていて安心する。読み手の感情をもすくい取って、そこから語りかけてくれるようなやさしい物語。
「私の病気を知ってくれている人がいる―それだけでこんなに安心できるなんて思わなかった」というのは本当にそう。先生にありのままの自分を受け止めて治療してもらうことは、それだけで大きい意味があると感じてる。あと、病気だと診断されることは、自分だけじゃなく家族にとっても病気を客観視したり、問題を共有するために重要なことだと思う。
「自分で動けるうちに診てもらうことが一番大切なのは確かです」の言葉も身にしみる。初診ですぐ診てもらえないこともあるので要注意(ぼくも最初は一ヶ月待ちと言われた)。弱井が言う通り、精神科がもっと身近になったらいいのにね。
「一度うつになったあなたは元の自分には戻れません」も心に刺さる言葉。ぼくも「新しい自分」を見つけようとしている途中で、まさにこの患者のように大切なものに気づいた体験があって、読んでいて自分のことかと驚いた。まだまだ一進一退という感じなんだけど、読んでいて勇気をもらえた気がする。来月発売の2巻も楽しみ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
漫画
- 感想投稿日 : 2020年1月22日
- 読了日 : 2020年1月22日
- 本棚登録日 : 2020年1月22日
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