地図にない場所 (1) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館 (2020年11月30日発売)
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本棚登録 : 218
感想 : 14
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『町田くんの世界』を描いた安藤ゆき先生の最新作。家でも学校でも劣等感を抱き続けて「人生終わった」と思っていた中一の悠人。そんな彼が再会した隣人の天才バレリーナ・琥珀。彼女は引退を決め、まさに「人生終わった」ばかりだった。空っぽだった二人が始めたのは“地図にない場所”という都市伝説探し。何処へ辿り着くのかわからないご近所探訪が始まる。

悠人が兄と比較されて感じ続ける劣等感や、琥珀がバレリーナをすべてを投げ打って続けてきた理由など、エピソードとしては重いものが多い。それでも、柔らかく感情を描いていくところが安藤先生のすごさだと感じる。琥珀のキャラもチャーミングで素敵。ぼくもこんなお姉さんが居たら懐いてしまいそう(笑) でも、その子どもっぽさは彼女がバレエに打ち込んで子どもらしく生きられなかったことからきてるんだよね。そう考えると切ない。

そして、悠人が「人生終わった」と嘆いているのとは対照的な琥珀の考え方も好き。そこまでの人生が終わったということは、そこから新しい人生が始まるってことなんだと。琥珀と一緒に地図にない場所を探しながら、悠人も自分の目的地が見つかるといいな。

「コハクさんの常識のなさに、常識という言葉を使うことは、俺の勝手なのかもしれないという気がした。」
この悠人の言葉が好き。こんな風に思えるだけでとてもやさしい男の子だと思う。物語はまだプロローグなのかな?あるかもわからない“地図にない場所”探しと、人間ドラマをどうリンクさせてくるのか気になるね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2020年12月2日
読了日 : 2020年12月2日
本棚登録日 : 2020年12月2日

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