このままだと、日本に未来はないよね。

著者 :
  • 洋泉社 (2019年2月21日発売)
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2019年発刊なのでコロナ禍を想定していないでインバウンド華やかな中で東京オリパラが普通に開催されることを予測して執筆されている面で予測ハズレの部分もあるけど、私はひろゆきの思考経路は割と親和性を感じながら読んでます。「予測の精度は高いほうが損しない」「とはいえ物事の進むスピードが物凄く速くなったので予測が難しい時代にはなった」「経済合理性にかなっているモノは、原則として時間の問題で成り立つので普及する。しかし例外的に経済合理性にかなっていても人間がバカな判断をすることも少なくない。」「ヒット予測は最初にそれがなぜいま普及していないかの理由を考える、たいていコストという合理性の面と感情論(制度論)という非合理の面。例えば、ひろゆきは将来網膜にレーザー映像を直接照射する網膜投影型のディスプレイが流行ると予測している。これがポストスマホであると)」「日本は人口オーナスが明白で成長性がないので、投資も技術開発も先細り、優秀な人間は海外からも集まりにくくなる」「ニコニコ動画がユーチューブに勝てない理由、アメリカの場合は莫大な資金を投資で集めて赤字が続いても優秀な人間を大量に投入し続けるので、自前の資金でやりくりしている日本企業が勝てるはずがない。このように、インターネットが絡む全てのビジネスの領域で日本のやり方で世界に勝てる余地がどんどんなくなっている」「日本からジョブズやイーロンマスクがでてこないのは、単純に日本経済が英語圏で動いていないから。世界で成功するとは英語圏で成功するに近く、日本で成功するのと世界で成功するのとでは全く別のセンスが必要になる。」「働き方改革の最適解は人間を雇わずロボットを雇う、既に無人化が進んでいる世界のオートレジがそれを証明している」「仮想通貨に投資するのは2019年時点でももう出遅れているし、税率は高すぎるし儲かるとは思えない。またブロックチェーンも過大評価されすぎ」「普通の人間にとってのひろゆきの考えるシンギュラリティは、CGによるVRが現実世界のそれと区別つかなくなったとき」「いまの日本は自動車に代わる基幹産業を新たに見つける産業構造になっていないことが一番の問題。世界水準で日本のやり方が基幹産業たりえないのは上述のとおり」「農業や工業はそのプロダクトが無くなると社会生活に支障をきたすのに対し、エンタメ産業は生きるのに必要のないものをうみだしているので、時間を奪い合ってるにすぎないとひろゆきはみている」「ただし体内にクスリを運ぶナノボットの開発だけは基幹産業ではないが日本にとって今なお先端産業となる見込はある」「海外のカジノも集客に失敗している所がたくさんあるので、むしろ日本にカジノをつくるのなら伝統的な賭場を再現して外国人を呼び込むオリジナルエンタメにすべき」「日本は規制が多すぎて、ドローン・セグウェイ・無人自動車などなど新しい技術の実証実験が海外に比べてどうしても遅れてしまう。そうなると、規制をすることでその技術が海外で先に進歩して日本は技術輸入国でしかなくなる。例えば、ヘリラジコンはもともと日本の十八番だったが、ドローンになって日本のメーカーはまったく太刀打ちできなくなった。つまり、規制をかけることで何の機会を失うのかという副作用の深刻さにめをつぶっている」「海外に住むと日本人の独特さがよくわかる。海外の人はどんなに少数でも自分が正義と思ってるときは絶対に意見を枉げない、たとえ周りの100人が反対していても関係ない。むしろドイツでは、ナチスの台頭の反省から、周りがどう言っても自分が間違ってると思ってるときはたった1人でも間違ってると言いはれるように育てようという方針」「海外では、二項対立する問題があったとき、真実かどうかに関係なく、ウソをついてでも大衆を動かせるパワーのある人が勝ってしまう。トランプ大統領は中国製品を締め出せばアメリカ製品が売れると言い張って当選したが、それやったらメキシコ製品が代わりに売れるようになっただけ、むしろ中国も報復でアメリカ製品を買わなくなったのでますますアメリカが損した」「海外では、教条的な正義とか公平という価値判断を捨てて、俺たちさえよければいいというミーイズムを強く言い張る方が優位なポジションをとれる時代になっている」「米中貿易戦争はアメリカに勝ち目がない。なぜなら、アメリカは安い製品を他国から仕入れないと経済が回らないが、中国は石油さえ手に入ればアメリカとケンカ抜きでも他国に商品を供給して回る国だから。あとアメリカでは貿易戦争で負けると政権が交代するが、中国はどんなに疲弊してもトップを変える事態はない。中国がお金を持っている限り、各国の政治も経済も中国に配慮せざるを得ず、この先20年は中国に勝てる国はあらわれないとひろゆきは考えている。国民の生活を国家が最新技術で監視する手法も欧米と異なり中国では簡単なので、ネットでデータを集めて人民をコントロールするという実証実験が中国では可能だし、倫理的に問題ある研究も中国政府がめをつぶれば中国では可能だから、技術自体は中国のほうが発展しやすい」「日本は経済力が低下してきてもらうことすら困難になる移民開放よりも無人化の研究に力を入れたほうが人口オーナスのなかでは得策」「儲けたければ、実は人の役に立たない仕事を選んだ方が賢明。例えば世界中の航空会社の利益を足した額よりも、承認欲求とつながりたいという欲求を満たすことに特化したメタ社の利益のほうが高い。フェイスブックが無くなって困る人の深刻度と、全世界の飛行機が突然無くなって困る人の深刻度は後者が上なのに。要するに、役に立たないモノのほうがビジネスという観点では意外と利益率は高い。だから、人の役に立つことをしなさいという旧来の価値観は、道徳的には正しいけれども、参加者が多く利益率はどんどん下がるので、給料も低いことにならざるをえない。役に立つもので儲かるという現象が成立しにくい時代になってる。役に立つということは、すでに需要があることが見えていること、だから参加者も多いレッドオーシャンになる。他方、役に立たないものは競合相手が少ないので、ブルーオーシャンのうちに市場を占拠してしまえばずっとおいしい思いをし続けられるということになる。ましてイーロンマスクやスティーブジョブズのように、未来を予測するだけでなく、自分で未来をつくってしまえば成功に近づく」「お金と幸せは関連しない、幸せは収入や職業と紐づけされていない、ヒトと自分を比べないで幸せと感じられるものをみつけた人のほうが人生を楽しく生きられる」「物事をよくしようと思うのなら、敵を知り己を知り改善を繰り返すのが王道。日本によくなってもらいたいのなら、海外のよい所を知り、日本のよくない所を見つめ、改善を繰り返すのが王道。日本はスゴイとか某国はダメだという言説を繰り延べる人がいるが、日本はスゴイて褒めてるだけでよくなるなら、とっくの昔に北朝鮮は世界のトップにたってるはず」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発本
感想投稿日 : 2022年12月8日
読了日 : 2022年12月8日
本棚登録日 : 2022年12月8日

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