カプリコン・1(ワン) [DVD]

監督 : ピーター・ハイアムズ 
出演 : エリオット・グールド  ジェイムズ・ブローリン  ブレンダ・バッカロ  サム・ウォーターストン 
  • 東北新社
3.47
  • (13)
  • (42)
  • (42)
  • (12)
  • (2)
本棚登録 : 185
感想 : 30
3

「カプリコン1」ていう言葉の響きが恰好良くて好きです。正直言ってほとんどそれだけの理由でこの映画を観てみました。
同じ理由で観た映画に「末来世紀ブラジル」がありますが、いわゆるジャケ買いみたいなものですね。

カプリコンとはやぎ座の意味で、カプリコン1とは劇中の有人火星探査船の名前です。
この映画は人類初の有人火星探査に行くお話ですが、発射20分前になってみんなも今か今かと固唾を呑んで見守ってる最中に、
突然ハッチを開けて謎の男が運転室に入って来ます。そして今すぐ宇宙船から出ろと言うんです。
当然3人の飛行士も、何言ってんだ、理由を説明しろ、と言いますが、
とにかく早く出ろ、緊急事態だ、と言って出させて、無人のままロケットが発射するところから物語が始まります。
さぁ一体何が起こったんだと物語に惹き込まれますが、ここから映画は奇想天外なストーリーを展開します。
実は発射直前になって生命維持装置に不具合が見つかり、このまま発射したらプロジェクトが失敗するというんです。
失敗すれば、NASAの威信にかかわるし、二度と国家予算がおりなくなるから、なんとしてもプロジェクトを成功させなくてはならない。
そこでNASAの高官が下した判断は、本当は無人なんだけど有人で火星着陸して成功したことをでっちあげてしまうことでした。
NASA職員にも秘密にして、ごくごく一部の人間だけでことを運びはじめました。
さぁここからは滑稽ながら、飛行士たちは砂漠のまん中にうち捨てられた古い軍事施設を改造したスタジオで火星着陸の真似事をして、
それが全世界にTV中継されます。ここまではまだ良かったのですが、というか国家がらみのねつ造ですから大変なことですが、
ここからさらに事態は大変なことになります。大気圏突入シールドにも不具合があり、宇宙船が燃え尽きてしまったのです。
さぁ、こうなると飛行士たちは最早 再び家族の前に姿を現すとおかしなことになってしまいます。
つまり、このままではNASAに秘密裡に抹殺されることを悟った飛行士たちは、砂漠のまん中のスタジオから逃げ出すのです・・・。

一方NASA職員の中には、何か異常を感じ個人的に真相を探り始める職員が出て来ました。
友人のTV記者に相談し、調査を続行しますが、この職員はある日突然、履歴から存在そのものまで忽然と姿を消してしまいました。
TV記者は友人の突然の失踪に不審を感じ、ひとり取材を始めますが、やはりクルマのブレーキが利かなくなったり、狙撃されたりします。
不審が確信になった記者は孤軍奮闘しながら、砂漠の軍事施設に辿り着きます。

飛行士たちは逃げ切れるのか?TV記者は真相を暴けるのか?
SFと思って観始めた映画は、サスペンスとなってクライマックスを迎えます。
結末は観てのお楽しみですが、実はこの映画。もっともっとスキャンダラスな映画なんです。

「私達は月に行っていない」
NASAは1969年アポロ11号から1972年のアポロ17号まで計6回の有人月面着陸に成功していました。
ところが1976年にアメリカのビル・ケイシングが『We never Went to the moon「人類は月に本当に行ったのか」』という本を出し、
アポロ計画はねつ造だと言い始めました。
そして1977年にこの映画が公開されます。
今でもアポロ計画陰謀説はまことしやかに語られていますが、これら陰謀説の端緒となり世間に広めたのが、この映画だったのです。
勿論陰謀説は今では根拠に乏しいとんでも話だとNASAが証明していますが、この映画が世間に与えたインパクトは推して知るべしです。
映画としての出来栄えは決して高いとは言えませんが、発想・着想、そしてタイトルに優れた作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス
感想投稿日 : 2016年8月1日
読了日 : 2016年8月1日
本棚登録日 : 2016年7月24日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする