1960年代横浜の高校の文化部棟カルチェラタンが舞台です。
固い絆で結ばれた戦争体験世代の父親達親友の物語を背景に、少女 海と少年 俊の淡い恋物語を描きます。
過度な効果音やBGMを排し、日常の生活音や静かな語り口が印象的な作りは、作品を落ち着かせ、遠い夏の記憶を思い出すようです。
ただ、BGMの選曲に若干違和感があり、物語の強弱が薄れ、エンターテイメント性が弱まったように感じます。
海と俊がタグボートで、はやる気持ちを抑えながら向かうシーンは、あの曲じゃない気がします。
気持ちに沿ってもっとベタで良かった気がします。
物語は、淡い青春恋物語。
カルチェラタンの保存運動を共にするうちに、惹かれ合う海と俊。
しかし二人は異母兄弟だったと知り、一度は結ばれぬ恋と諦め距離を置きますが、それでもやっぱり好き、と互いの気持ちを確かめ会います。
そして俊の出生の秘密を知る、父の親友を二人で尋ね、親友同士の厚い絆を知ります。
ヒロインの海が一人泣きながら影を連れて歩くシーンに、ナウシカが匿う子オームの元へ泣きながら歩くシーンを思い出しました。
小さなタグボートに乗る少年と少女が、父の親友が乗る大型船に手を降りながら去っていくシーンに、ラピュタのラストでパズーとシータが海賊達から去っていくシーンを思い出しました。
そして、海と俊の物語と父親達の物語の対比に、熱い宮崎駿世代の物語と、まだ何者でもないけれど次世代を担うであろう宮崎吾朗世代の対比を思いました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ジブリ
- 感想投稿日 : 2020年8月23日
- 読了日 : 2020年8月23日
- 本棚登録日 : 2020年8月23日
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