高台にある家

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2000年1月1日発売)
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感想 : 5
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水村美苗の母親の自伝小説。読売新聞で連載されていた「母の遺産」でまず美苗さんのファンになり、その独特な世界とそこをそう表現するかと毎度うならされる心理描写は「本格小説」でも読み進むのが惜しいような気持にさせられ、でもこの人は寡作なのでなかなか次々とは読ませてくれない。そんな時、図書館で美苗さんの隣にあった本がこれ。
正直お母さんの作品が面白いとは限らないので何度か手にとっては借りずに来たが、その内容が、美苗さんがお母さんをモデルに書いたという「母の遺産」の、その「母」が書いた自伝小説と知ってから、これは読むしかないと。そしてそして、読んでみると、もうとまらない。現代では考えられない、この時代だからこそのお話だけど、これはこうやって本人が書き残してくれなければ、流れ消えていってしまう人生の話。決して作ろうと思っても作れないお話。
「母の遺産」を毎週楽しみにして読んでいた時はこの「母」の存在にうんざりしていたが、その「母」がどう育ったかを描いた「高台にある家」を読み終わった今、当然ながら「母」の印象は変わった。そしてタイミングよく出版された「母の遺産」。もちろん購入。読まなければ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: おすすめ
感想投稿日 : 2012年5月1日
読了日 : 2012年4月30日
本棚登録日 : 2012年4月20日

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