93年に初版。2008年に再版。それだけ出て埋もれてしまっている癌で亡くなった稲見さんの第二作である。初期の作品は正統ハードボイルドだったと聞いていたが、まさしくビターな味付けだった。
命を賭けた戦いをしないか。
荒くれ者の集まるパブでそう切り出された四人の男たちが、
「死ぬ気なんだな。撃ち殺されても文句ないんだな。人を撃てる、こんな機会を誰が断るか。」と即決で受ける。
稲見さんの得意な狩猟の智識、サバイバル、ガン、そして「男の理屈」が満杯の作品である。もっとウェットなラストかと思っていたが、最後まで命のやり取りは本物だった。
「遊びはな、真剣にやるもんだ」
たぶん、女には絶対にわからない一作。私も、基本わからないけど、狩猟を趣味として、西部劇ばっかりを見て、ガンの専門誌などを十年読んでいたならば、おそらく「即決」しただろうと思う。
稲見さんの本で読み損なっているのは、後二冊になった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
さ行 フィクション
- 感想投稿日 : 2011年10月21日
- 読了日 : 2011年10月19日
- 本棚登録日 : 2011年9月7日
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