まあ、なんていうか物語のほうは置いといて、表現の自由をテーマにこんな小説が成立してしまうという現代はどういう時代なのだろうか。
こんな小説をも許される自由な世界なのか、それとも小説家のアンテナがこういうテーマを選んでしまう危機的な世界なのか。
昨今の石原、橋下某小皇帝たちの言動を見ていると、後者のような気がする。
児玉清の巻末特別対談も最終回になった。どうしても納得いかないのが、ついに最後まで著者は文庫版あとがきでこの対談相手への追悼の言葉を語らなかったことだ。三巻目、四巻目は充分間に合ったはずなのに、である。それが単に著者の美意識ならばいい。検閲ではないが、会社側からの何らかの圧力がないのならばいいのだが。
収録は三月の初めだったという。既に死を意識していたと思うのであるが、それを微塵も感じさせないともかく好きな本を褒め上げ、著者を立てるという姿勢に徹している。ものすごいプロ意識であった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
た行 フィクション
- 感想投稿日 : 2011年9月17日
- 読了日 : 2011年9月17日
- 本棚登録日 : 2011年9月17日
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