作者の「あとかたの街」と同時に日本漫画家協会賞大賞を受賞した本書は、しかし「あとかた」とは違い、ほとんど画像資料のないのにほとんど唯一のシベリア抑留漫画になっている。同じように小熊英二「生きて帰ってきた男」に記された小熊英二さんのお父さん謙二さんの体験と多くの部分は重なる所があり、2人の記憶の正しさを証明することにもなっている。お互い相補う所もあり、是非一読をお勧めする。
ちばてつやさんが「暖かく、やさしいタッチのマンガ表現なのに、そこには「シベリア抑留」という氷点下の地獄図が、深く、リアルに、静かに語られている。」と推薦文を書いている。その通りだと思う。
特に最大の犠牲者を出したという、1946年の最初の冬越えを詳しく描いていて、貴重である。
2015年8月読了
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
か行 フィクション
- 感想投稿日 : 2015年8月20日
- 読了日 : 2015年8月22日
- 本棚登録日 : 2015年8月19日
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