放課後バトルフィールド1 (講談社ラノベ文庫)

著者 :
  • 講談社 (2012年8月9日発売)
2.21
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感想 : 9
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【読了】弓弦イズル「放課後バトルフィールド1」 8月6冊目

ISの7巻が2011年4月に出てから、続きが出ないまま1年と4ヶ月。ISに関しては公式なアナウンスがないままに新興レーベルである、講談社ラノベ文庫より刊行されたのが「放課後バトルフィールド」である。なお、当初の発売日よりも1週間遅れての発売となった。

「放課後バトルフィールド」はサバゲーをテーマとしたライトノベルである。そのフィールドは今風な仮想空間で行われるのだが、敢えてその世界観の成り立ち、仕組みなどの詳細な記述を回避することによって、読者の知的好奇心をかき立てる事に成功している。読者の飢餓をあおることによって続巻の成功ももはや確定事項と言えよう。

キャラクターは、やはり流行の鈍感主人公と、なぜか速攻でデレるヒロインたちで構成されている。それと同時に主人公はシスコン、妹はブラコン、さらには姉キャラまで用意している。素晴らしい。聖闘士星矢Ωでも言っているように時代は属性なのである。

また主人公はやたらと耳が遠いらしく、ヒロイン達のセリフを素晴らしい技量でスルーしていく。このお約束の伝統芸を忠実に再現しているところに作者の熱い想いを感じる。読者は新しいことなんて求めてないんだと。どこまでもストレート勝負なところが、どこまでも美しい。

さらに読者への分かりやすさの追求だろう、そのままダイレクトな商標を惜しみなく使った大量のパロディの数々。前後の関連性を考えず、パラッとめくったページでパロディが楽しめる。どこまでもエンターテインメントを追求する作者の作品に対する姿勢には感動を禁じ得ない。

加えて文章の読みやすさといったらどうだろう。紙面にふんだんにもうけられた空白が読みやすさを格段に高めている。それはまるで旅客機で空気を運ぶくらいに贅沢の極みとも言える。あぁ、このラグジュアリー感、エグゼクティブ感、まさに文章というのは足せばいいってものじゃない、引き算こそ大切なんだ・・・、そんな作者の主張を感じる。

弓弦イズルは今まさに、「放課後バトルフィールド」によって、激戦のラノベ界というバトルフィールドに再臨した。この戦いの結末やいかに?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2012年8月10日
読了日 : 2012年8月10日
本棚登録日 : 2012年8月10日

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