妄想テレパシー(1) (星海社COMICS)

著者 :
  • 星海社 (2016年7月9日発売)
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感想 : 6
5

デビュー作かつ前作である、『僕と宇宙人』はちょい残念な結果、まぁ、アレを打ち切りと言うんだろうけど、になってしまったけど、私はNOBEL先生の実力は十分な域に達している、と思っている
正直なトコ、『僕と宇宙人』は、YJ本誌で連載をしていたら、今でも続いていた気がする。『うらたろう』(中山敦支)に『テラフォーマーズ』(貴家悠/橘賢一)、『プリマックス』(柴田ヨクサル/蒼木雅彦)とレベルが高い青年漫画が集結しているYJだが、一つケチを付けるなら、四コマ漫画作品がないこと。NOBEL先生なら、その枠を埋めるに足る実力を持っていた、と思うんだよなぁ、私は。あぁ、でも、今も『僕と宇宙人』を連載してたら、この『妄想テレパシー』が世に出るのが遅れちゃってたか
内容は、タイトルから察せる通りのもの。大雑把に言うと、ラブコメ未満の青春ドラマ
ヒロインが読心能力者ってのは、そこまで目新しい設定と個性じゃないのだが、表現方法に対しては唸らされた。人の声、また、心の中に浮かべている映像にのみ色をつけて、建前と本音の差をハッキリさせるのは巧い
ヒロイン・中野さんに、理屈抜きでベタ惚れなイケメン・隼人の妄想、これが実に、作品へイイ勢いを生んでいる。でも、ぶっちゃけ、この年齢なら、これくらいのド下品な妄想は普通(笑) とっても健全だ
表情筋が死んでいる分、心の中では実に表情豊かで、好きな人の一挙一動で気持ちが弾んだり、沈んだり、と忙しないトコは男子高校生らしくエネルギッシュ
だが、そんな隼人のエロエロな妄想に、中野さんが振り回されるだけじゃないのが、この『妄想テレパシー』だ
『高台家の人々』(森本梢子)や『斉木楠雄のΨ難』(麻生周一)でも描かれているが、人の心が読めるってのはイイ事ばかりじゃなく、むしろ、自分の心を傷つけられるコトが多い、それがちゃんと描かれている点だけでも星五つに値する
自分を好きな男の子を好きな女の子に協力したことが災いし、せっかく、築けそうだった友情が瓦解しそうになった中野ちゃんが、自分の能力を衝動的に告白してしまったトコで、この(1)の本編は終わっている。うーん、実に気になる。この引きの見事さも含め、やっぱ、NOBEL先生は実力がある
次巻の展開で気になるトコは多いにしろ、個人的に望むのは、オマケ漫画でちょろっと触れられている、適当な矢嶋くんとアグレッシブな彼女さんのイチャイチャ話が増えるコト
この台詞を引用に選んだのは、隼人が何気にカッコよく思えたから。困っている人を助けるのは当たり前、それが特別に好きな女の子なら、もっと当たり前、か

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(その他)
感想投稿日 : 2016年9月13日
読了日 : 2016年9月13日
本棚登録日 : 2016年9月13日

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