早乙女選手、ひたかくす (8) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館サービス (2019年4月12日発売)
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感想 : 5
5

むぅ、もう、そろそろ、実写化が決定しても良い頃だと思うんだが
『ワンダンス』(珈琲)とは違った意味で、アオハルの香りがする、ラブコメとしても、ボクシング漫画としても正統派だから、実写になっても、よほど、内容を変えなきゃ、良い結果を出すんじゃないだろうか
ただ、難しい、ってのも察しは付く
ボクシングのシーンがあるから、ボクシング経験者でなきゃならないってのも大事だが、それ以上に、ヒロイン・早乙女ちゃんの恋する少女の可愛さも表現しなきゃならないとなると、かなりの実力がある若手女優でなければ、挑めない

とりま、実写化希望の事は、脇に置いておくとして、この(8)も激熱
以前も書いたが、ほんと、ボクシングとラブコメのバランスが良くて、どちらもパートも質が高くて、読みやすい
ボクシングのシーンをここまで熱く描け、ラブコメのシーンでは、雪すら解かすほどのイチャイチャを魅せつける
水口先生の才能と努力が見える内容、と言っても過言じゃない
きっと、こんなにも面白いのは、水口先生が敗北の味を知っていて、なおかつ、泥沼の中から這い上がってきたから
負けて、悔しい思いをして、それでも諦めず、戦い続ける事を選択した漫画家にしか、この熱さは出せない

早乙女ちゃんとサトルが、恋人としてだけでなく、選手とセコンドの絆が強いってのも、この作品の売りだ、と断言できる
戦いたい、敗けたくない、倒したい最強女王・花見籠目選手に煽られ、自分が通う高校の素晴らしさ、そして、サトルがいかに優れたトレーナーであるか、それを、オール1R勝ち、と言う結果で証明しようと、奮闘する八乙女ちゃん
しかし、熱くなりすぎている早乙女ちゃんを諫め、見るべき目標へ目を戻させたのは、誰でもなく、サトルだった
自分だって、梅咲をバカにされて悔しい。しかし、その悔しさで目が曇り、体の動きが鈍れば、負けてしまう
オリンピックを目指すのであれば、目先の栄光よりも、手堅く勝って、次に繋げていく、そちらを選択するべき
言うのは簡単だが、人間は欲が出やすいもの。それでも、サトルと一緒に、オリンピックに行くべく、自分の感情に蓋をして、戦えた早乙女ちゃんは、間違いなく、成長したな
しかし、やはり、女王は貫禄が違う。最初から、早乙女ちゃんのステージを上げ、サトルのトレーナーとしての資質を確かめる為に、わざとらしい挑発をしていたようだ
そんな花見選手へ、早乙女ちゃんより先に挑むのは、若乃真帆
彼女も、また、紛うことなき天才であり、一握りの強者
果たして、彼女の拳は、絶対女王へ届くのか
あー、ドキドキしちまう

どの回も、早乙女ちゃんとサトルの相思相愛っぷりにグッと来る
そんな中で、私がお勧めしたいのは、[第86話]早乙女選手、贈ります、だ
サトルが良い事を言っているってのもあるが、ケータと砂原ちゃんの仲が、ちょっと進展した感じが、実に好い
周囲からしたら、昆虫柄はハズレかも知れないけど、好きな人が好きなモノを身に付けて、アピールしたいってのは、年齢に関係なく、女の子としちゃ当然の気持ちなのかも
これがキッカケで、ケータの中で、砂原ちゃんの存在が、どう変わっていくのか、楽しみである

この台詞を引用に選んだのは、シンプルに響いたので
私も、「小説家になろう」で、中々、デビューのチャンスを掴めない
けど、目標がある以上、諦める、敗けっぱなしでいるって選択肢は選びたくない
書店の棚に、自分の作品がいくつも並んでいるプロは、皆、誰もが負けても、立ち上がってきた
だから、私も、何度だって立ち上がろう、先輩たちと本気で殴り合えるリングを目指して
「公式戦0勝か・・・強いなぁ、あの子は。個人競技においての敗北は・・・まぎれもない自己の努力と才能の否定。それでも、なお立ち上がれる、あの子の強さは、心の強さや。うちら、ボクサーはみんな・・・崩れゆく自尊心・・・闘争心、それらを拾い集めて、何度でも立ち上がる」(by若乃真帆)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(小学館)
感想投稿日 : 2019年7月12日
読了日 : 2019年4月30日
本棚登録日 : 2019年4月12日

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