六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2023年6月13日発売)
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本棚登録 : 1598
感想 : 195
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Audibleで聴きました。
ブランチBOOK大賞2021」受賞、「2022年本屋大賞」ノミネート作で映画化もされた就活を巡るミステリー。

犯人は言う。就活は本当に機能しているのか?生殺与奪の権利を握る人事。学生は嘘ハッ百を並べて会社に入ろうとする。人事は会社の悪い面を隠して嘘を嘘で固めて学生を引き寄せる。会社に入った学生は会社が嘘をついていたことに愕然とするし、人事も思ったような学生でないことに愕然とする。

最終盤には、6人が向かい合った逆の立場の面接官になった内定者が呟く。「この世界にこんなにも単純でこんなにも難しい作業が他にあるだろうか?」

「月――地球からは絶対に裏側が見えない」という記述が出てくるが、初めは単純に美しい月を見て、その後に裏側を見せられ、これこそが本当の月かと戸惑い、そして最後に月の内面まで覗かされて、やっと月の本当の姿を見ることができたというような内容。

就活を通して、生きることそのものへの洞察などもあるが、何より伏線回収も楽しいミステリーとしての面白さの詰まった作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年4月21日
読了日 : 2024年4月21日
本棚登録日 : 2024年4月21日

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