目が見えなくなることは、私にとって、すごく辛いイメージがあり、実際にちょっと目を瞑るだけでも、ものすごい不安を覚える。
でも、それって、本当に見えないわけではないから、真意を理解することにはならないのですが、目の見えない人全てが、辛い気持ちで生きているわけではないことは、この物語が教えてくれました。
悲観的になるよりも、それに合わせた生き方を考えることの大切さを。
この物語の主人公「ルーチョ」も、視覚以外の感覚が研ぎ澄まされることで、自然や動物を愛し、山登りを楽しんでいます。
しかし、彼はそれ以外の世界が、あくまで目の見える人の為に作られた世界であることを痛感し、彼の中でも他人に迷惑をかけたくない気持ちが強くなることで、人に助けを求めず、意地を張る姿が目立つようになりました。
所詮、目の見える人たちに、自分の辛さなんて分かるわけがないと思い込んでいたルーチョですが、そんな彼の考え方を見直すきっかけとなる、ある出来事が起こります。
それは目の見える人の言葉ですが、それでもルーチョは他の人のそれとは違う、共感に近い感覚を覚えます。
なぜか?
私の中の固定観念も、度々見直さなければいけないと思ったのですが、「目の見えないこと」が最も辛いこととは限らず、人の数だけ、その人自身にしか分からない辛さがあるということだと、私は思いました。
誰にも言えなかった、辛い思い。
でも、その勇気を振り絞っての心からの声に、ルーチョはきっと心の奥深くに響くものを感じ取った。
そして、その瞬間、世界の広さを改めて実感し、自分だけが辛いのではなかった、心強さを得たのだと思います。
- 感想投稿日 : 2022年2月11日
- 読了日 : 2022年2月10日
- 本棚登録日 : 2021年7月3日
みんなの感想をみる