付添い屋・六平太 獏の巻 嘘つき女 (小学館文庫 か 35-9)

著者 :
  • 小学館 (2016年11月8日発売)
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感想 : 6
3

六平太と博江の仲が近づいていきます。
このまま行くと何かが起こるかも……。

浅草元鳥越の市兵衛店に住まいして、立見流兵法の遣いてで、信濃国十河(そごう)藩加藤家を出て浪人となった秋月六平太(ろつぺいた)が、口入れ屋・もみじ庵からの紹介で裕福な商家の子女の芝居見物などの付添い屋を生業とする人情物語です。
六平太の義妹・佐和は、火消しの音吉と祝言を挙げ、授かった勝太郎が可愛いです。
元旅籠町の代書屋「斉賀屋(さいがや)」で働く博江は、六平太の面倒をよくみています。

【犬神】
天保二年(1831)八月。盗賊、犬神の五郎兵衛は、居場所を奉行所にたれ込まれ捕縛された。五郎兵衛の盗賊一味のうち頭ひとりだけが捕縛された。いままで稼いだ金の在りかを吐かないで獄門となった。ただ秋月六平太に、五郎兵衛が紅葉の名所は、正燈寺に近い荒れ寺だと言った。これはただの雑談だったのか。

【宿下がりの女】
味噌問屋「出羽屋」の娘・寿美が、奉公先の旗本屋敷からお暇を頂いて帰って来た。寿美は、屋敷で側室の密通を目撃したために命を狙われている。六平太が、寿美を江戸から佐原へ送って行く。この間に、六平太が風邪を引き寝込んだら博江が泊まり込みで献身的に看病してくれた。

【となりの神様】
繁盛神といわれる亀助は、いろんな店に行っては、本当に美味しく食事をする。そうすると不思議な事に自然に客が増えていく。それを知った潰れそうな店は、亀助を捕まえてきて店におくが、客は増えない。亀助が行く店は、努力していて評判がいい。

【嘘つき女】
水茶屋「津雲屋」の玉代は、代書屋「斉賀屋」で博江に親元へ手紙を書いてもらう。その内容が、助けてという大変な内容なので六平太に相談する。調べると嘘であった。その理由を知った博江が、玉代を水茶屋から五両で身請けを考えた。六平太は、正燈寺に近い荒れ寺の枯れ井戸から盗賊、犬神の五郎兵衛の隠し金を見つける。

【読後】
江戸時代の貨幣である一両を十万円に換算して、一分(一両の四分の一)は2万5千円、一朱(一両の十六分の一)6,250円と文中で書いているために分かりやすいです。そして1830年頃の江戸の町の風情がこまやかに書かれています。町人文化が大きく花開いた江戸が楽しく、想像が膨らんでいきます。
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獏の巻 嘘つき女 ― 付添い屋・六平太シリーズの9作目
2016.11発行。字の大きさは…小。2022.08.14~17読了。★★★☆☆
犬神、宿下がりの女、となりの神様、嘘つき女、の連載短編4話。
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2022年8月18日
読了日 : 2022年8月17日
本棚登録日 : 2022年8月9日

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