付添い屋・六平太 天狗の巻 おりき (小学館文庫 か 35-10)

著者 :
  • 小学館 (2017年3月7日発売)
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感想 : 7
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六平太の想い人おりきの居場所が分かりました。
六平太は、色々と考えて動けずにいます。
そんな六平太をおもんばかって周りが動いていきます。
とうとう動かざる……。

浅草元鳥越の市兵衛店に住まいして、立見流兵法の遣いてで、信濃国十河(そごう)藩加藤家を出て浪人となった秋月六平太(ろつぺいた)が、裕福な商家の子女の芝居見物などの付添い屋を生業とする人情物語です。
六平太の義妹・佐和は、火消しの音吉と祝言を挙げ、授かった勝太郎が可愛いです。
元旅籠町の代書屋「斉賀屋(さいがや)」で働く博江は、六平太の面倒をよくみています。

【冬の花】
天保二年(1831)十月。遊女、白梅の命日に墓前に水仙が供えられていた。もしかしたら六平太の想い人おりきかも知れないと。調べると、板橋の博徒岩松一家の栄次だと分かる。おりきが、旅先で栄次に頼んだのではないかと思った六平太は、栄次を訪ねると十日前に殺されていた。栄次は、岩松親分に渡世人をやめて飴屋を始めると言った。邪魔になった岩松親分が、栄次を殺した。

【隣人】
安倍川町の高兵衛店の住人で、手習所の師匠・戸川半七郎は、大家の海苔問屋、内丸屋高兵衛から長屋を取り壊して近江、誉田藩の留守居役・小林佐太夫の妾宅を造るために立ち退きを迫られた。戸川は、六平太のはからいで博江の住んでいる福富町の伝助店に引っ越してくる。小林佐太夫の妾宅は、小林の妻に妾がばれて取りやめになった。

【雪月夜】
居酒屋「吾作」の料理人・菊次は、店の手伝いをしている八重が好きでたらない。しかし八重は、お兄さんとしか見ていません。八重が、沢之助と付き合いだしたので。菊次は、沢之助を調べると女を食い物にする。それを八重に話すと怒って大変な事になる。1年前から消息を絶っていた六平太の想い人おりきが、神奈川宿の宿屋で女中をしていることが分かる。

【おりき】
六平太は、おりきがなぜ何も言わずいなくなったのか、もしや男がいるのでは、気持ちが変わったのではないかと考えて動けずにいます。そんな兄を見ていた佐和が神奈川宿へ行って、おりきと会って兄に早く迎えに行くように言いますが。それでも動けずにいたが……。

【読後】
脚本を多く書かれた金子成人さんらしく、江戸後期の江戸の町の風情がこまやかに書かれています。テレビを見ているように江戸の風景が、行事が、人々の触れ合いが伝わってきて。私の想像を掻き立てます。
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天狗の巻 おりき ― 付添い屋・六平太シリーズの10作目《第三部完結》
2017.03発行。字の大きさは…小。2022.08.17~19読了。★★★☆☆
冬の花、隣人、雪月夜、おりき、の連載短編4話。
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2022年8月20日
読了日 : 2022年8月19日
本棚登録日 : 2022年8月9日

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