鰻と甘酒 居酒屋お夏 春夏秋冬 (幻冬舎時代小説文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2021年12月9日発売)
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本棚登録 : 78
感想 : 8
3

居酒屋お夏の常連客が醸し出す雰囲気がとてもいいです。
居酒屋お夏シリーズの14作目
鰻と甘酒 ー 居酒屋お夏 春夏秋冬シリーズ(第2期)4作目
2021.12発行。字の大きさは…中(字が薄い)。2022.04.18~20読了。☆☆☆★★
江戸は目黒の永峯町にある、お夏の居酒屋に来る常連達と、妖艶で美しいく、お節介なお夏の楽しい物語です。
乱れ酒、鰻と甘酒、ごっそあん、ところてん、の短編4話。

【乱れ酒】
居酒屋お夏の常連客の口入屋・不動の龍五郎と、弁天の寅蔵は、その昔、金毘羅の熊吉親分の下で龍虎といわれていたが。寅蔵が、小海の茂吉に父親の件で脅かされて目黒を出て行った。此度、二十数年ぶりに目黒に来た寅蔵に会った龍五郎は、決着をつけるために喧嘩をするが、お夏に謀られて…。
ーーー 男二人の気っ風の良さに惚れ惚れとします。
【鰻と甘酒】
居酒屋お夏の常連客で鰻の蒲焼の辻売り宗太郎と、二つ年上の甘酒屋のお蝶が好きあった。そこへお蝶の元情夫の良太郎があらわれる。お蝶は、良太郎に騙されて根津の遊郭に売られた過去がある。その良太郎が、お蝶を手に入れるために宗太郎を殴る蹴る。お蝶は、出刃包丁を持って良太郎を殺しに行くと、仲間割れして殺されていた。お蝶が行く前に、お夏が良太郎を殺して、悪仲間の康次郎に血の付いた匕首を持たせた。
ーーー 良太郎が、お蝶をまた騙して遊郭に売ろうとしたのを知ったお夏が、先廻りをして良太郎を仲間割れに見せて殺したのはすばやいです。これで純真な宗太郎と、訳ありなお蝶の想いがかないそうです。
【ごっそあん】
居酒屋お夏の常連客の駕籠舁きの源三は、博打でたまたま五両を稼いだ。なにかの折に使おうと長屋の大家・瓢(ひょう)右衛門に預ける。その金を含めて二十両を瓢右衛門は、美人局に遭いおもとと情夫の芳之助に脅し取られる。源三は、夫婦になる前に出来た子供・龍泉源兵衛が相撲取りになり、初相撲に出るので五両を上げようと瓢右衛門に言うと慌てる。お夏が、おもとと芳之助を逆に美人局にあわせて脅し取る。
ーーー なにかほんわかする物語です。
【ところてん】
お夏の父で侠客・相模屋長右衛門が生きて魂風(たまかぜ)一家を率いていたころに取り逃がした盗賊三次郎を目黒で見かけた居酒屋お夏の料理人・清次は、昔の魂風一家の仲間を集めて調べると。三次郎は、居酒屋お夏の常連のお春の仏具屋真光堂へ押し入る用意をしている事が分かる。お夏たちは、三次郎たちが押し入ったところを取り押さえる。
お夏が、自分用に作っていたところてんを不動の龍五郎に見つかり、店に出すと男どもが我も我もと食べに来る(笑)。
ーーー 私も心太は好きです。お夏が作る心太を食べてみたい(←心太に砂糖をまぶして、軽く醤油を落とす)。

【読後】
展開が早く、人情味が有り、居酒屋お夏で過ごす常連客が醸し出す和気あいあい感がなんともいえずよい気がします。此度は、ほんわかとした余韻の残る「ごっそあん」が良かったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2022年4月20日
読了日 : 2022年4月20日
本棚登録日 : 2022年4月9日

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