裏六甲異人館の惨劇 (講談社ノベルス カB- 7)

著者 :
  • 講談社 (1987年9月1日発売)
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感想 : 4
3

映画監督と助監督という珍しい設定の探偵コンビ。

断片的な情報を組み合わせてプロットを組み上げ、シナリオを書くように全体像を把握する推理スタイルの五城監督。ロケハンでの土地勘と情報収集能力、あらゆるムチャ振りと雑務をこなし馬車馬のように働く助監督吉田。職業的なキャラ設定が意外にミステリと相性がよく面白い。

ロケハンで訪れた洋館で殺人を目撃した助監督吉田が五城監督に救いを求め、二人は事件に巻き込まれていく。そこには『黒真珠夫人』の異名をもつ真隅夫人をはじめとする上流階級の一族が。

2時間ドラマ的な展開で、メイントリックと犯人もおおかた予想がつき、ちょっと退屈しながら読み進めていました。ところがやっぱり梶龍雄。終盤で様相が変わってきました。「ああ、そういう展開もあるのね」なんて思ってましたが、驚愕したのは犯行動機。「そんな馬鹿な」と思いつつも、予想外の細かいところにまで伏線が張ってあって、そこまで丁寧にやられると笑って許してしまいます。

いわゆる『バカミス』なのかもしれませんが楽しませてもらいました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(国内)
感想投稿日 : 2012年4月1日
読了日 : 2012年4月1日
本棚登録日 : 2012年4月1日

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