スタグフレーション 生活を直撃する経済危機 (祥伝社新書 666)

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  • 祥伝社 (2022年9月30日発売)
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リーマン・ショックから立ち直るため
大量のマネーを市場に供給する量的緩和策を実施

マネーが市場に大量供給されれば、インフレが進みやすくなる。
根本的な需要過多の状況に大量のマネー供給が加わり
さらに感染症や戦争が重なったことで
インフレが加速

米国など諸外国では
景気は過熱気味に推移 → 物価上昇
   ↓
金利を引き上げて景気を冷やして物価を抑制する
米国は
金利引き上げペースを加速

景気を犠牲にしてでも、物価を抑制する

ところが、日本では、それはできない

不景気が長く続いて
国内経済は、低金利が大前提となっている

急に金利を上げると
景気が一気に悪化する可能性があり

諸外国のように、高金利政策はできない

恐ろしいのは
不景気下でのインフレーション、つまりスタグフレーション。

経済がスタグフレーションに陥った場合
ほとんどの経済政策が効果を発揮しなくなり、回復は困難になる。
スタグフレーションは、もっとも回避すべき事態。

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日本は、過去30年にわたって、デフレーションが続いてきた

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2022年の春以降
食料品を中心に、多くの商品価格が値上がり

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不景気下なので、値上がりができず、ステルス値上げをしてゴマかしている

22
企業は、コスト上昇分を吸収できるまで
10%程度の値上げを何度も繰り返す可能性が高い

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電気、ガス、ガソリンは、消費者に選択肢がないので、勝手に、価格を値上げする

29
現実社会とのズレ
黒田日銀総裁の失言2022.6.都内で公演
「日本の家計の値上げの許容度も高まってきている」
国民から批判が殺到、ネットが大炎上

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2.4%の物価上昇で、家計の負担は?
多くの世帯で赤字になる可能性が高い

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物価上昇 4つの要因

① 原油や食料など一次産品の値上がり
② 世界的な需要の拡大
③ 米中対立やウクライナ侵攻など地政学的要因
④ 量的緩和策によるマネーの大量供給

今回のインフレは、①

2015年以降
原油価格は、1バレル 50~60ドル程度
2020年前半
コロナ危機による下落を経て
2021年より本格的な価格上昇
2022年 100ドル超えが日常的になった

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さらに激しく値上がりしてるのは、天然ガス
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エネルギー価格が上昇すると、食料価格も上昇

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世界の需要は拡大の一途

一連の物価上昇の最大の要因は、全世界的な需要の拡大
中国を筆頭に、東南アジアなど新興国の経済成長が著しく、全世界的な需要は増える一方

社会が豊かになれば、エネルギー消費は増える。

今後は
中等やアフリカなどでも、社会が豊かになり、エネルギーや食料の需要は増大する

全世界の需要拡大は、2010年頃から顕著になってる

供給が追いつかないリスクはすでに認識されてた。

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インフレーションをさらに悪化させているのが
④ 量的緩和策による全世界的なカネ余り

日本を除く各国は、量的緩和によって、景気回復を実現してきたので、物価上昇があっても、そこまで大きな問題にならなかった。
その分、経済も成長し、賃金も上がっているので

45
日本はすでにスタグフレーション

日本の場合は、インフレによるコスト上昇に加え
円安という特殊要因が加わってる

日銀が量的緩和策を継続し、低金利政策を維持する限り、円安が進む可能性が大

エネルギーや食料に加え
スマホや家電など工業製品についても、輸入に頼るようになってしまった

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ガソリン価格と同様に、電気料金、ガス料金も、原油価格に連動する

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マンション価格も値上がり
一部メディアは、外国人を含む投資家が投機目的で買い漁っていると報道してるが、正確ではない
購入層の大半は、自己居住目的

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円安がインフレーションを加速させる

円安が進んだ最大の理由は
日米の金融政策に大きな違いがあり
両国の金利差が拡大すると予想されるから

リーマン・ショック以降
各国の中央銀行は、国債を積極的に購入し市場にマネーを供給する量的緩和策を実施してきた
日本以外では
それなりの効果を発揮し、景気は順調に回復した

FRBは、2022.8.時点で
量的緩和策を完全に終了し
金融正常化に向けて、利上げを開始した

日銀は、依然として、量的緩和策を継続

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済
感想投稿日 : 2022年11月20日
読了日 : 2022年11月20日
本棚登録日 : 2022年11月20日

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