"一瞬、ここには妹は居ないと思った。部屋の中には、赤毛のやや綺麗めな女性しか居なかった。だが、あんなに鮮やかな赤毛を持つのは、うちの妹くらいしか知らない。
もう一度、確認をする。
その刹那、灰色の目が鋭くなった。その眼差しを見て、やっと認めることが出来た。
あのご婦人は、間違いなく妹。髪が伸び、ふっくらと肉付きの良くなったジークは別人のようだった。ドレス姿も奇跡的に似合っている。
そして、自分達は盛大な勘違いをしていることが分かった。ジークは単に実家に遊びに来ただけだったらしい。家族は皆、ぎこちない態度で、ジークとその夫を迎えていた。
それにしても、妹の変化には本当に驚いた。
ジークを見れば一目で分かる。異国の地で大切にされていたのだと。"[p.121_九人の兄による、ジークリンデ観察日記]
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- 感想投稿日 : 2016年7月20日
- 読了日 : 2016年7月20日
- 本棚登録日 : 2016年7月20日
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