先輩とぼく2 (電撃文庫 お 8-2)

著者 :
  • メディアワークス (2004年6月10日発売)
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感想 : 11
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“「……ここはアタシの家から遠いわ。だから下宿することになってるんだけど…………下宿先ははじめにーちゃんの家なのよ!ドーン」
最後に自分で効果音を入れる嵐ちゃん。そんな嵐ちゃんにびっくりして問いかけるぼく。今度こそは邪魔が入らない。
「えっ!聞いてない!ホントに聞いてないよ」
そう、まったく聞いてない。初耳だ。どうしようもないくらい初耳だ。
「黙っててくれるようおば様達に頼んでたから」
答えはわかりきってるけど一応確認するぼく。
「知らないのは……」
「そ、はじめにーちゃんだけ」
…………うちの家族と一回、腹を割って話し合う必要があるんじゃないかと思ってきた。いくら頼まれたからと言っても、なぜこんな大事なことを黙ってるんだ?”

近所の妹キャラの石川嵐。
美香の双子の妹、右結びの小谷美穂と左結びの小谷美菜。

変人パレード。
先輩のいかにも悪そうな顔が好きすぐる。

“「じ?」
「……じいちゃんが来た」
頭が真っ白になった。けどその言葉の恐怖が脳みそを再起動して、最善の行動をとろうとする。
「………………先輩、さようなら。しばらく会うことはないでしょう。ではっ…………って先輩!放してください!ぼくは逃げたたいんです!」
全身全霊で逃げ出そうとするぼくと、ぼくを捉えて放さない先輩の手。そのままとても心配そうな顔で聞いてくる。
「いや、そう言われても、話に置いていかれるのは好きではないし、何より君がとても心配だ」
「先輩……」
それほどまでにぼくのことを思ってくれているなんて…………とでも言うと思ってるんですか!?ぼくをなめないでほしい。先輩の顔には、べったりと「面白そうだから」という文字が太字で書いてある。それはもう蛍光塗料で書いたんじゃないかっていうくらい、ぴかぴかと輝きを放っている。
「放してくださいっ!先輩にかまっている暇はないんです!」
「…………今までにない切羽詰った発言だね、これはなおさら君を放すわけには行かない。私は君の力になりたいのだよ」
先輩の顔に書いてある文字が「ものすごく面白そうだから」にパワーアップしている。その文字は心配そうな表情の上で、闇夜に光る電飾のように輝いている。”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫本
感想投稿日 : 2010年8月22日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年8月22日

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