世界一孤独な日本のオジサン (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA (2018年2月10日発売)
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気がきかず、空気を読めず——それ以上に、気をきかせようとも空気を読もうともせず、(妻を始めとする)他人が自分に奉仕して当たり前。いつも仏頂面で、口を開けば自慢かダメ出しかセクハラかクレーマー…そんなオジサンは「孤独」であり、それは肥満やアル中にもまさる健康不安要因なのだそうだ。
彼らに「オトモダチ」を作っていただくことが肝要だが、「孤独なオジサン集まれ〜☆」などと本当のことを言っては臍を曲げてしまうので、もと大工にはDIYのワークスペース、サッカーファンには老いても活躍できるwalking footballなどそれぞれの沽券を重んじた「エサ」で釣って、偏屈の穴蔵から気持ちよく出てきていただかねばならない…。
というのだが、(他ならぬ「男」のみを除いた)老若女にあまねく負担をかけてまで、こんな爺どもを永らえさせる必要があるのだろうか。医療費の節減と言うなら、とっととあの世にお引っ越し願ったほうが、ずっと話が早いようにも思う。専属家政婦兼慰安婦兼看護師兼介護士兼サンドバッグたる妻を喪った爺はあっという間に萎むが、婆さんのほうは高熱で倒れようがおかまいなしに要求される3度3度のメシ炊きと、お茶と言う手間すら省いた「おーい」から「やっと解放された!」とばかりにイキイキするというから、その点でも困る人は存在しない。金さえ稼いでいればあとは何もしなくていいとみずから「ATM」に堕すことを選んだのは、他ならぬ男たちなのだ。ならば心おきなく、「遺産・年金吐き出しATM」と化していただこうではないか。
いい歳こいて「産んだ覚えのない長男」と化し、何でもかんでも妻におんぶに抱っこのあげく、他人様のコンサルタントに手取り足取りヨチヨチしていただかなければ「生きる」ことすらおぼつかなくなった、「見た目は爺・頭脳は子供」。モンスターとしか呼びようがないこんな生き物は、おぞましいのひとことである。生きるにも、生かしておくにも値しない——というのは、言いすぎなのだろうか。
そもそも結婚や出産、転勤など、てめえひとりの都合で女性の地縁・血縁・社縁を容赦なくブッチブチ切断しておきながら、「オンナと違ってボクチン友達づくりがヘタなんだよおおおお。ボクチンたちのロンリテキでユーシューな頭脳は、そんな低俗な作業には向いていないんだよおおお。オンナたちはそんなボクらをヨチヨチして、気持ちよく友達づくりさせてくんなきゃやだよおうええええん」とは、どこまで甘ったれているのかと言いたい。

2018/11/14読了

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2018年11月15日
読了日 : 2018年11月14日
本棚登録日 : 2018年11月14日

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