胡乱すぎるシチュエーションで出会った胡散くさすぎる男に、この状況を怪しみ、疑うだけの知性を持ち合わせているにもかかわらず、惹かれる——いや、欲情するヒロイン。
もうこれだけで「ないわー」だったが、読了してから訳者あとがきで知った。著者はいわゆる「ハーレクイン・ロマンス」の大家であり、本書もその一つであるらしい。ならば、この「ないわー」にも一定の説得力は付与されうるわけで、腑には落ちたが、一般小説とばかり思って読んできた身としては納得がいかなかった。ある意味「詐欺」とすら思えてしまった。
サスペンスとしては、ありがちの域を出ていない。少なくとも、すべての手がかりが提示されるフェアな「ミステリ」ではない。そのため、あらかじめ真相を見抜けていたわけでもないのに、「ふーん」以上の感想は浮かんでこなかった。残り数ページになって「実は⚪︎⚪︎が××だったんです!」といきなり言われても、そりゃ「ふーん」としか思いようがない。
キャラも同じく類型的で、まさにひとときの暇つぶしになる娯楽読み物、ラノベという感じ。それとしてはけっして不出来ではないが、その点まで含めて、すべてが予定調和の域を脱しない「ジャンル小説」だった。
2016/1/13読了
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ&サスペンス
- 感想投稿日 : 2016年1月14日
- 読了日 : 2016年1月14日
- 本棚登録日 : 2016年1月14日
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