大部な本だが、思いのほか読みやすい。著者は学者ではなくライターで、文学・評論業界の人々が濫用しがちな難解な用語ややたらもってまわった言い回しをかみくだき、わかりやすく読者に供してくれている。初めての包括的書物が編まれる上で、このテーマはおよそ最上の書き手を得たのだと思う。
記述は中立を心がけつつ、ところどころに控えめに著者の感想が挿入され、無味乾燥にまで堕してはいない。あとがきに至って、わずかに恨み節っぽい文章が散見されるが、それだけ大変な作業だったんだろうなあ…と、ねぎらいの気持ちが起こるのみである。
2011/10/15〜10/16読了
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
奇譚
- 感想投稿日 : 2011年10月16日
- 読了日 : 2011年10月16日
- 本棚登録日 : 2011年10月16日
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