主人公は、結局チェスのポーンでしかなく、大いなる計画においてパンドラの蓋を開けるための役でしかなかった。正義感と倫理観は全く別物であり、正義のために倫理を捨て、GMOによって世界の覇権を目論むアメリカの用意周到な計画に、人は巻き込まれていく。
主人公は、最後神になる欲望に勝てず、最後の扉も開けてしまう。そして行方をくらます。途中の伏線も回収していくが、回収漏れや必要あったのかどうかわからないような投げっぱなしジャーマンのような部分もあり、やや急ぎすぎているような気がした。
もちろんたくさんの人が読み、支持されているのだと思うけれども、ちょっとそのあたりが「物語」としては不完全燃焼だった。
ただ、既に日本にもGMO作物を原料とした商品は身近に販売されている。GMOを勧めるアメリカと、拒否するヨーロッパの構造は変わらないが、ジョーカーはアメリカの手にある。日本はもちろんアメリカよりだから、そのまま受け入れられていくのだろう。過去に描かれた恐怖は、現在、すでにその触手を様々な分野に広げている。我々の食の安全は果たして守られることはできるのだろうか、いや、もう考えるときは過ぎてしまった。どう選ぶか、これから消費者の目を問われる時代に入っていくのだろうと想像する。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2013年6月30日
- 読了日 : 2013年6月30日
- 本棚登録日 : 2013年6月25日
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コメント 2件
だいさんのコメント
2013/07/06
libraさんのコメント
2013/07/07