はじめて読んだ作家さん。恋愛漫画じゃなくて、翔が前を向けるまでのストーリーとして読みました。
生きてることが1番辛い、生きてる意味がわからなくなる、最初から全部やり直したい、と大切な人に言われた経験がある身からすると、翔が母親を亡くして自分を責めて追い込む気持ちも、翔が死へと向かう心情も、とてもリアルで苦しかった。強くならなきゃ、しっかり生きなきゃ、でも生きていく希望がない。その揺れ動く葛藤が、まさに生死の天秤で、母親のメールを読んだ時にガクンと天秤が傾いてしまったシーンが目に浮かんでしまった。
人を助けるなんて、救うなんて生易しいもんじゃないし、それこそこっちも命がけだから、菜穂の周りに信頼できる友達がいて良かった。悩みを打ち明けるのが怖いっていうのもとても分かるし、生きることとか死ぬことなんて軽々しく相談できない。人に簡単に言えたら悩んでない。死にたいことを口に出してしまうと、みんなと一緒にいれない気がして明るく振る舞う翔の気持ちもとてもよく分かる。だから、こじ開けてでも真剣に聞いてくれる人が側にいることが必要だったんだと思う。
小さなことを積み重ねて、翔の心を救うために、後悔しないために、1人じゃないよと伝えるために、みんなが頑張るのが、とても嬉しかった。きっと手紙が届いた世界の翔も、これからも何度も天秤は動くだろうと思った。けれど、大丈夫だと思いたい。
希望、ってゆう言葉を受け入れたくなる、そんな作品だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年9月9日
- 読了日 : 2019年9月9日
- 本棚登録日 : 2015年11月14日
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